【 carview 】 ニュース 〓 アメリカGP、今年もピットウォークを開催
なぜ、これがニュースになるのか?F1で無料のピットウォークをしているのがアメリカだけだからである。ここにアメリカのモータースポーツと他の国のモータスポーツの歴史と性格の違いが浮き出ている。
アメリカ以外の国では自動車は特権階級の乗り物であり、モータースポーツは貴族(あるいは資産家)の楽しみであり、それを一般市民”にも”見せてあげるというスタンスだ。競技者を中心とするスポーツであったために、競技者やオーナー、スポンサー、そしてその友人知人のために競技は開催されている。だから、特権階級の人はピットにも入れるし立派なサロンもある一方、一般市民は本来は遠くから見るだけで、”温情によって”お金を払えばピットも見せて”いただける”という考え方になっている。
対して、アメリカの場合、自動車に乗ることは特権階級だけの権利ではなく広く民衆に与えられた権利として考えられているため、むしろ市民の代表によるレースを市民に見せることで興行主ならびにレース関係者にお金が入ってくるという考えに基づいている。そのため、主役は観客それも一般市民の観客であり、大衆を満足させることが最大の目標である。そのため、ピットウォークやパドックウォークのようなものも当然大衆に解放されていて、むしろ、どうしても作業などに支障がでたり、安全面の問題があるから、これだけは我慢してください、という感じの制限である。オーバルレースなのも大衆が全員レース全体を把握できるようにだし、トップ独走では面白くないという理由だけでイエローフラッグを出すことも許される。それもこれも全て主役が大衆であり、そのお金でレースがなりたっているからだ。
簡単に言えば、アメリカはプロスポーツとして、それ以外の国ではアマスポーツとしてモータースポーツは発生した。アマチュアというと聞こえはいいが、実際はアマチュアというのは貴族にだけ許されることであり、金持ちだけが参加できるという意味である。(全てのスポーツにおいて、働かずに競技ができるということはそういう意味だ。)結果としてプロスポーツになったF1と最初からプロスポーツであったアメリカンモータースポーツでは一番楽しめる客層は異なっている。F1がアメリカに根付かない理由の一つもそこにあるため、少しでもそれを緩和しようという努力の現われがフリーピットウォークに見てとれる。
もちろん、特権階級の側にたって参加すればF1もとても楽しい、ただなかなかそちら側に入れない人がほとんどである。
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