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プライバシーの誤解

納税者番号、選択制で導入 株、利子など課税一体化 政府税調報告

いわいる納税者番号制だが、国民が否定的ということで導入が遅れている。
もちろん、好きで税金を納めたいわけではない。納めていいことが無いから当たり前だ。しかし、税金を納めなければ国家は立ち行かず、脱税はいけないことだというコンセンサスはあるものとして話を進める。

実際には国民の多数は給与所得で、これはほとんど脱税ができないし、節税も難しい。逆をいうと、少数派のその他の人達はサラリーマンほど税金を払っていることはほとんどない。これは不公平だ、良くないことだ、と考えるのであれば、納税者番号によりお金の流れをつかむことはすごく重要なカギになる。あるいは直間比率の大幅な見直しが必要である。問題はそれらを正しい形で導入することだ。
例えば、課税捜査以外の目的では決して使わないとか、間接税導入時に十分な直接税減税をするとか、そういう部分に目を光らせていれば、マジメに納税していた人にとっては悪い話ではない。

プライバシーの侵害だと言って反対する人がいるが、これはけっこう的外れな指摘である。純粋に課税目的で使用し、その他の目的に使用しないこと、そのルールを実現可能な形で強制する法規を整備すること、ができれば、今よりもむしろプライバシーの問題は守られる。(そのためには、課税当局以外の捜査機関が使用できないこと、他の犯罪捜査にさえ使うのを許さないこと、くらいの譲歩が欲しい。)
なぜ、プライバシーが守られるかを説明すると、現在納税者番号がない代わりに個人の特定に何が使われているかを考えて欲しい。氏名、住所、生年月日、電話番号、もしかした家族構成まで。なぜ、口座を一つ開くために、窓口の担当者にまで、「この人、あんなとこ住んでいるんだ。」とか、「この顔で乙女座?」とか、「えー、これで私より若いの?どう見てもオバサンじゃん。」とか、「電話番号ゲット。」とか思われなきゃいけないの?
そもそも、家族構成から住んでいる場所、生年月日に出身地、はては嫡出かどうかまで、国が全部把握しているということ、さらには誰でもそれが閲覧できてしまうということの方が重大なプライバシーの侵害であり、それを許している状況で番号一つくらい何を今さらなのだ。
何か買い物だ、口座だというたびになぜ電話番号を言わなければならない?最近ではメールアドレスも、とくる。それらをどっかの名簿業者に売っているかもしれないし、店員がOKでも、周囲の客に聞かれたいことでもない。なぜなら、聞けばそのまま使える情報だからだ。それに比べれば、それ自体は数字の羅列に過ぎない納税者番号一つで済ませるほうがよほど気楽だ。もちろん、その番号一つでシステムにアクセスすればあらゆる情報が引き出せるようになるかもしれない。しかし、それは住所氏名生年月日からも可能なことであり、悪意ある犯罪に対して無力なことは同じである。しかし、アクセス権限を抑えたり、厳罰
化することである程度は抑えられる。むしろ、そこまでではないカジュアルなプライバシー侵害が問題だ。そういう意味では、番号のみでは使い道がない納税者番号の方がよほど安全だと思う。
納税者番号がない現状がプライバシー侵害の危険がないというのは幻想に過ぎず、番号を入れたからといって、これ以上悪くはならない。むしろ、生年月日や電話番号を口にしなくて良い分、今よりも良くなると思う。
考えても見てほしい、目の前に若くて美人の客がいる。口座を作るのに、名前に住所に電話番号、生年月日まで書いている。覚えたら犯罪?そうはならない。少なくとも覚えたから警察に捕まるなとは思わないだろう。覚えたか覚えないかは証明のしようがない。おなじ状況で納税者番号を書かれた。必要ないのに彼女の電話番号を知るためだけに端末にアクセスする。この時は、違法だと思うだろう。違法だけどバレないし、ちょっと見るだけ、って考えるかもしれないが、バレない、捕まらない、と思っても違法だとも思っているはずだ。
ほんの些細な壁ではあるが、捕まえて立件するには十分な境界で、捕まったときに罪の自覚をするにも十分な境界だ。

僕は現在の政府について何でも反対するわけではない。納税者番号は導入するべきだと思うし、それでよくなる面もあると思う。しかし、運用に関しては厳格にルールを定めて欲しい。例えば、駐車違反やスピード違反で納税者番号を調べるのは禁止して欲しい。近所の交番に調査票を渡されて、そこに書くのもいやだ。運用を違反した人間に対して厳罰をきちんと課して欲しい。それだったらば賛成だ。例えば公務員が娘が結婚したがっている相手の財務状況を見るために使用なんてことがあった時にどうなるか?懲戒免職では物足りない。禁固刑が相当だ。それくらいの個人情報保護をした上で導入すれば、脱税をしていない人には歓迎されると思う。


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