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July 30, 2004

魔法の乗り物

14人死傷の日航機事故、機長に無罪判決 名古屋地裁 - asahi.com : 社会

新聞等のメディアからわかる情報に基づいてだが、機長を有罪とするのは無理があると思う。
なぜ、シートベルト着用サインなどというものがあるのか?なぜ毎回安全についての説明があるのか?バスにはない。タクシーも。新幹線もない。エレベーターも。船もたいていはない。飛行機は未だ完全な乗り物にはなっていない。完全で安全な魔法の乗り物ではないのだ。

シートベルトをしていなかった?それは客の責任だ。死んでも文句は言えない。不適切な着用も以下同文。
正しく適切にシートベルトをしていたのに、期待されていた安全性が発揮されなかった?だとしたら、それは機体の責任だ。設備か整備かそういった人間の責任だ。
つまり、こういう事故が起こりうる乗り物だからそういう装備が必要で使うことが求められている。飛行機においては、乗員乗客は全て機長に命をゆだねているのであり、彼に絶対的な権限を与えなければ運航に支障がでる。
極端な話、多少怪我人が出ようが死人が出ようが最終的に安全に着陸するために必要だと機長が判断したら、躊躇無くできる環境を作ってあげることが必要だ。
おそらく、あえて誰かを傷つけようと意思があってした操縦ではあるまいし、誰かを傷つけることを予測できたのにしたわけでもないだろうし、機長であれば当然予測できたことが予測できなかったわけでもないだろう。逆にこれらのうちに一つでも該当する人間を機長にしていたのであれば、それは機長の責任ではなく航空会社の責任だ。
かつて船が危険に満ちた乗り物だった時代に、船長には完全なる権限が与えられたのと同様、飛行機の機長も同じように絶対的な権限を与えられなければ、安全な運航は無理である。
また事故調査報告はまさに技術と安全のためにあるのであり、乗員の過失を責めるものではあるまい。調査によって、機長、乗員、整備士などの過失があったとしても、それを刑事罰に問うとしたら、そういう人員を雇っていた会社の方であり、個人的には減俸や解雇などがあったとしても刑事罰に問うものではないだろう。つまり善意で求められる努力をして、求められる技量を持っている人間の行為に対しては、刑事罰を問えないのではないかということだ。
要求水準を満たしていなかったのであれば、水準以下の人間を使用した会社の責任で、会社が個人を罰するのは構わないが、社会が個人を罰するべきではないだろう。
悪意がなく、重過失がなく、技量にも欠陥がないという前提の人以外が操縦しているとしたら大問題であり、事故が起きる以前に航空会社が処罰されるべきだ。その前提がなりたっていなかったら、誰も飛行機になど乗りたくはない。

投稿者 kid : July 30, 2004 12:35 PM

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