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September 7, 2004

世界の巨人と日本の小売業

ITmedia エンタープライズ:総論:「危うい」日本の小売 (1/3)

上記リンクはWal-MartとITの関係を紹介した記事だが、その中では触れられていないが、実はバーコードをこれだけ世の中に普及させたのもWal-Martである。
Wal-Martは世界最大の小売業で(ちなみに全米2位はHOME-DEPOT)ものすごい巨人である。その巨人がサプライヤーに対して、バーコードをつけない商品は仕入れないと宣言をしたことにより、サプライヤーは(泣く泣く)バーコードを納入した。バーコードがいかに物流と小売を変えたかはご存知の通りである。この巨人の果たした功績は大きい。トヨタのカンバン方式にも似た在庫管理が可能になったのもバーコードのおかげである。(といっても在庫量のマージンはトヨタのそれとは比較にならないが)

しかし、なんと言ってもWal-Martの強さはその大きさであり、単体でかなうものがいない以上、仕入れ価格に対する強さも世界最強であろう。見た目こそ違うが、ある意味近いのはドンキホーテかもしれない。とにかくありとあらゆるものをものすごい規模で仕入れ、買い叩くことで利益が生まれている。
最近は訴訟沙汰もあったが、基本的に従業員を家族とみなすタイプのポリシーで労使関係も順調に歩んできた。
日本進出にあたって、弱点があるとしたら、日本の特殊事情にどれだけ対応できるか?ではないだろうか?異常な物価高、地価、スペースの無さ、従業員のハイコストなどである。アメリカ基準では緻密な在庫管理と言われたが、日本にはアメリカのようなスペースは無い。日本基準で考えれば、とても緻密とは言えない。このジャンルではセブンイレブン(ジャパン)の方が遥かに上手だろう。
さらには、バルク仕入れの強みが生まれるまでは、サプライヤーとの関係もそんなに良好にはならないのではないだろうか?

上記リンクでもカルフールについて触れられていたが、日本人のクオリティに対する基準にどれだけ応えられるか?もちょっと疑問が残る。

同じような例としてコスコ(日本ではコストコ)も気になる存在だ。いつもにぎわっているし、驚くほど価格が安いこともあって、売上は順調に伸びているのだろうけれど、その一方外国らしい商品が少ないなんて不満も聞こえるし、そもそも地価の高い日本で客もコンスタントにやってきているのに早々に閉店時刻を設定しているあたりも、あまり考えずにアメリカのスタンダードをそのまま持ってきたのではないか?と少し疑問。
次に来るところとしてIKEAも、要チェックだ。商品の展開や品質、サービスや店のレイアウトなどから、日本でヒットするのではないかと思っている。死角があるとすれば、日本の狭い家では買える物の量と大きさには限界があるということ。しかし、IKEAの出身地北欧と日本では文化的に近いところもあるのでアメリカ勢よりは日本の心情を理解するのが早いような気がする。

日本の小売業は地の利があっても、ある程度の規模がなければ外資勢に対抗するのも難しいだろう。守勢にまわるだけではなく、むしろ外資の地元に十分偵察に行って、自分たちの強みが何なのか再度振り返って見直すことが大事なのではないだろうか。

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さあどうするBSE

BSE対策:全頭検査見直しに慎重 坂口厚労相

生後20ヶ月未満の牛では「感染が検出できない」ことと「感染していない」ことは別である。
もっと言えば感染している可能性はゼロではないことは確認が取れている。

20ヶ月未満で検出できないのであれば20ヶ月未満の牛は食べてはいけないとするのが当たり前の論理だ。
これを無視して、政治に負けて、「20ヶ月未満の牛では感染が見られなかった。」という報告書を止めなかった連中は全員自然科学を破門にするべきだ。
科学技術の進歩とともに人類が歩む上で、科学者の良心は最後の砦である。一命を賭してでも科学的論理、真実を守れない者は科学者を名乗る資格は無い。

検出不可能、感染可能性が低い、危険部位を除去しているからうんぬんということを言い出すのであれば、そもそも全頭検査は必要ない。BSEからヤコブ病になって死ぬ確率自体は交通事故よりは全然低い。そんなことはわかっている。だったら気にしないで食べればいいだけの話。
しかし、検査と努力によって、少ない危険性をさらに低く、ゼロを目指すから食品管理をするのであって、危険ゼロを目指すという精神がもてないのであれば最初から禁輸などしなければよい。現にアメリカはそういう考え方で遠慮なくビーフを食べている。

BSEの権威であるUCSFの教授も増感した検出法による全頭検査以外に安全はないことを主張している。英字誌にそう寄稿しているのだから日本政府のために主張しているわけではない。自然科学者として当然のことをしているだけだ。

政治に負けて、ウソを言えるような食品安全委員会なら無い方がよほどマシだ。ほとぼりが冷めて、国民が鈍感になっていることを狙っての今回のこの動き。市民のバカさ加減を試されているといっても過言ではない。

なんてところに読売の社説。

[BSE検査]「『二十か月以下』の除外は妥当だ」

科学も論理もない人が書くとこうなるっていう見本みたいなものだ。
EUがこうしているから、USAはこうだから、その調子でナチスが殺しているからユダヤ人を殺そうとかブッシュが殺しているからイラク人を殺そうとか言うんでしょうな、きっと。
20ヶ月以下は検出できないから検査しない。そこまでは正しいよ。でも、だから輸入してもいい、食べてもいい、ってどうしてなるんでしょ?
読売曰く、危険部位の除去が大事だ。それをしっかりすれば若い牛は検査無しでもOK。百歩譲ってそれが正しいなら、若く無い牛も危険部位除去すれば無検査で食べてもいいんじゃないの?とすれば、成牛まで検査している意味が無い。傾向管理に使うならアメリカみたいに抜き取り検査にしたら?話に論理性なし。

きちんと大丈夫だって納得できる理由があるのかもしれない。だったら、それをきちんと論理立てて説明するべきで、全頭検査は感情的だというなら、論理的に整合する理屈を出すべきだと思う。

アメリカは生年月日の管理があいまいだから直せと言って直すと思うんでしょうか?間違えないでできると思うんでしょうか?下等国民が食べる輸出品にきちんとした管理をって考えるアメリカ人がどれくらいいるんでしょう?23ヶ月でも20ヶ月ってラベルを書き換えれば輸出できる状態が何を招くんでしょうね。散々国内でも偽装事件が起きているのに、何も学ばないのですね。読売さんは。

日本で発見されたBSE牛の一番若いのが21ヶ月だから20ヶ月の線引きが妥当って言うのも何だかねぇ。世界で一番若いBSE検出よりもっていうならともかく、外国ではもっと若い牛でも検出されたことがあるのに日本基準で線を引くことになんの意味があるんでしょう?

これだけ論理性がないか、日本語が下手か、その両方かって言う人が新聞の社説を書いているのが今の日本のマスコミの現状だ。

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