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世界の巨人と日本の小売業

ITmedia エンタープライズ:総論:「危うい」日本の小売 (1/3)

上記リンクはWal-MartとITの関係を紹介した記事だが、その中では触れられていないが、実はバーコードをこれだけ世の中に普及させたのもWal-Martである。
Wal-Martは世界最大の小売業で(ちなみに全米2位はHOME-DEPOT)ものすごい巨人である。その巨人がサプライヤーに対して、バーコードをつけない商品は仕入れないと宣言をしたことにより、サプライヤーは(泣く泣く)バーコードを納入した。バーコードがいかに物流と小売を変えたかはご存知の通りである。この巨人の果たした功績は大きい。トヨタのカンバン方式にも似た在庫管理が可能になったのもバーコードのおかげである。(といっても在庫量のマージンはトヨタのそれとは比較にならないが)

しかし、なんと言ってもWal-Martの強さはその大きさであり、単体でかなうものがいない以上、仕入れ価格に対する強さも世界最強であろう。見た目こそ違うが、ある意味近いのはドンキホーテかもしれない。とにかくありとあらゆるものをものすごい規模で仕入れ、買い叩くことで利益が生まれている。
最近は訴訟沙汰もあったが、基本的に従業員を家族とみなすタイプのポリシーで労使関係も順調に歩んできた。
日本進出にあたって、弱点があるとしたら、日本の特殊事情にどれだけ対応できるか?ではないだろうか?異常な物価高、地価、スペースの無さ、従業員のハイコストなどである。アメリカ基準では緻密な在庫管理と言われたが、日本にはアメリカのようなスペースは無い。日本基準で考えれば、とても緻密とは言えない。このジャンルではセブンイレブン(ジャパン)の方が遥かに上手だろう。
さらには、バルク仕入れの強みが生まれるまでは、サプライヤーとの関係もそんなに良好にはならないのではないだろうか?

上記リンクでもカルフールについて触れられていたが、日本人のクオリティに対する基準にどれだけ応えられるか?もちょっと疑問が残る。

同じような例としてコスコ(日本ではコストコ)も気になる存在だ。いつもにぎわっているし、驚くほど価格が安いこともあって、売上は順調に伸びているのだろうけれど、その一方外国らしい商品が少ないなんて不満も聞こえるし、そもそも地価の高い日本で客もコンスタントにやってきているのに早々に閉店時刻を設定しているあたりも、あまり考えずにアメリカのスタンダードをそのまま持ってきたのではないか?と少し疑問。
次に来るところとしてIKEAも、要チェックだ。商品の展開や品質、サービスや店のレイアウトなどから、日本でヒットするのではないかと思っている。死角があるとすれば、日本の狭い家では買える物の量と大きさには限界があるということ。しかし、IKEAの出身地北欧と日本では文化的に近いところもあるのでアメリカ勢よりは日本の心情を理解するのが早いような気がする。

日本の小売業は地の利があっても、ある程度の規模がなければ外資勢に対抗するのも難しいだろう。守勢にまわるだけではなく、むしろ外資の地元に十分偵察に行って、自分たちの強みが何なのか再度振り返って見直すことが大事なのではないだろうか。


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