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June 28, 2006

受験勉強と殺人事件

asahi.com:「他人事と思えぬ」進学校の子の親困惑 奈良放火殺人?-?社会

この事件の話を聞いて、「他人事と思えぬ」と思った親は、もう子供に勉強しろっていうの止めたほうがいいね。本当に子供のためを思っていて、それが子供に伝わっていないのならば、無駄だから。なぜに勉強しなければいけないか?勉強したほうがいいのか?誰のために勉強するのか?がわかっていないようであれば、勉強しても役に立つこともないだろう。むしろ、意味がわかっているならば今勉強していなくても大丈夫だろうし。

勉強して実力がついて、良い大学に入ったら良いこともあるかもしれないが、それにしたって良いことなんて本人の実力がついたことに比べたら大したものではない。無理矢理勉強して無理に進学校に行って無理に良い大学なんて行ったら、その先はけっこう悲劇である。猪の群れに豚が入っても相手にされないだけだ。

親子の問題となるといくつかパターンがあるが、。。。

親が勉強できなかったのに子供に勉強を期待する場合。
このパターンは多くて、子供はかわいそう。親ができなかったために親は正しい指針を示せず、周囲の風評とかに影響されやすい。勉強の中でも大事なことと些細なことがあるが、親がその差をわからないために子供が振り回されやすい。実際のところ、本当に賢いと言われる連中は、たいていは幼少時に親から受けた影響のほうが学校の勉強よりもずっと大きく影響しているから、そこが期待できないとかなり確率は悪くなる。基本的にはカエルの子はカエルである。それでも少しずつ身の丈に合わせてステップアップを図っていくこと自体は悪くない。ただ、無理をさせれば結果が出るというものでないことは確かで、力のいれどころとタイミングを誤らないことと過度の期待は禁物ということ。所詮あなたの子なのですから。。。

親ができたのに子供ができない場合。
なんで自分が勉強ができたのかきちんと理解していないんでしょうね。さらには人には色んな可能性があり、たまたま自分の子供が勉強にはむいていないこともあるし。他のことの方がむいているなら、それをそれで尊重するのも良いと思うし、その場合でもある程度の教育を受けさせてあげることはきっと役に立つのだけれど、それくらいの教育であれば親のやり方一つでなんとかなる部分も多いから、やっぱり親の責任ですね。自分が何か失敗したのに子供を責めてもしかたないのに。。。。でも、たいてい、このパターンに該当する場合って、親が勉強ができたっていうほどできていないことが多い。いわいる学歴インフレというものの影響があるから、親の世代の話をこの世代に持ち込んでも価値が違うことも多い。はっきり言ってしまえば親が本当に勉強ができたら、子供も勉強ができるパターンが圧倒的に多い。結果として、親が高収入だと子供も高学歴というパターンでこれが現れる。それは勉強に経済力が必要なのではなく、賢い親だと子供も賢くなるパターンが多いのと、賢い親だとお金も稼いでいる場合が多いということの重ね合わせである。収入の高い親ほど教育熱心な傾向があり、収入が高い親ほど子供の教育費を心配するらしい。(というか収入が無い親は教育費を心配しない傾向があるらしい。)賢い人ほど悲観的ということ。

でも、一番悲劇なのは。。。。
親が賢くなくて、子供が賢くて、おまけに親が子供が賢いことを理解できないパターン。
これはかなり悲劇。特に子供が飛びぬけて賢かったりすると、学校の教師や同級生にも理解されず、孤独まっしぐらである。数人こういう人を見たが、もう滑稽と言える位ゆがんだ親子関係になる。いわいる一流校とか優等生とかが皆恐れ入ってしまうくらい賢い子なのに、本人の親は「うちの子はほんとにダメな子で、先生にも怒られてばっかり。。。」とか言ってたりして。。。大学くらいまで生き残ればまだ救いもあるが、そこまで生き残れない子も多いと思う。残念ながら日本にはgifted children(天賦の才がある子)のための教育システムというのはほとんどないから、この天才パターンはたいていが小中学校で芽を摘まれてしまう。
有名なエジソンなんかも親が理解してくれなかったらこのパターンで終わりだったでしょうね。

自分のことを振り返れば、高校に入って最初のテストで僕の成績はあまり良くなかった。成績上位者は名前が貼り出さた。僕のお袋は、知っている子の名前が出たのに、僕の名前が出なかったことにかなり失望したようだった。愚痴をこぼしたお袋に僕はこう言った。「○○君と俺とどっちが賢いと思う?ほんとにアイツの方があなたの息子より賢いと思うか?思わないでしょ。だからこれくらいのことで心配しなくても大丈夫だよ。たまにはこんなこともあるけど、俺はやればできるし、やらなきゃいけないときにはやるから。」それ以来、お袋は心配することはあっても、勉強しろと言ったり、愚痴をいうことは無くなった。
どの大学を受験するかを1年も前に公言し、後には引けない状態にした。一年間は(というか10ヶ月くらい?)まじめに勉強したと思う。それでも、模試の合格可能性が20%以上になったことは1回しかなかったけど。
でも真剣だったし、失敗したら割腹する覚悟だった。僕の高校での成績で僕の通った大学に合格した人は過去100年いないので、よく色んな人にすごいねって言われるが、僕の答えは「死ぬ気で頑張れば不可能なことはほとんどないよ。僕は失敗したら本当に死ぬ覚悟だったから。」である。合格発表までの数週間などは本当に、「あぁこの景色も見納めか。。。」という心境で過ごした。

で、閑話休題。
問題の事件の子は、そこまでの覚悟はあったのだろうか?医学部に入れなかったら割腹するから、それまでは干渉するなと言えただろうか?家族を殺すほうが簡単だと思うような人間に育てられてたってことだと思う。自分が自分で決めた目標に対して頑張るようにならなければ、親がいくら勉強を強要したって無駄である。それよりは勉強することの意味を説いて、勉強自体は強要しないほうがよほど利口というもの。(家庭教師でこれをやってさんざんクビになったけど、本当はその方が生徒のためだと僕は今でも思っている。)

投稿者 kid : June 28, 2006 11:46 AM

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