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最近のエンジニアリング事故から

新聞を騒がす事故、故障について
asahi.com:パロマ、92年に不正改造報告 経産省、情報生かせず�-�社会

マスコミはパロマを叩きたいみたいだが、当のマスコミの報道が正しいと仮定するとそれはちょっとお門違いだと思う。安全装置を殺して使う改造が原因なのであれば、安全装置を殺した業者を徹底的に究明して糾弾するべきだろう。それをしなかったら、どんな製品のどんな安全装置も機能を停止させることはありえるのだから、他の事故の抑止にならない。そもそも、意味も考えずに安易に改造した人間の罪はとても重い。もちろん、パロマも簡単に改造できないようにすることを検討するべきではあったと思うが、それはコストとモラルの問題で、サービス性も考えたらサービスマンのモラルを信じるのは現在の日本として普通のチョイスだったと思う。たとえば、電子レンジで猫を乾かそうとして猫が死んでしまったときに、電子レンジに猫が入っていたら作動を停止するような装置をつけていなかったのが悪い!とするのか?というのと同じである。あるいは、不正改造を防止するためにパロマ本社の人間しか整備はできないようにして、高額なサービス料を請求してもいいんですか?ということになる。
車検制度と同様で、昔のように車体色を変える以外はすべて不法改造で車検を通さない、しかもディーラー以外は整備禁止!という状態が望ましいか?と言われたら答えはNO!であろう。だから、整備不良で事故が起きた時にメーカーの責任を問うか?と言われたら答えはNO!になるべきだ。それが想定できないようなものならともかく、Fanが止まってもガスが供給されるのであれば明らかに問題なのだから。

シンドラー社エレベーター死亡事故の隣接機で閉じ込め
ブラジルではシンドラーのエレベーターは多かった。やっぱり安いのだろう。日本に進出できたのも、安いという理由で買ってくれる客が多かったと思われる。そして、そのお客たちは何で安いのか?は考えなかったわけだ。客観的に見て、日本製品はクオリティーが高い。世界中でそう思われている。外国人もそう思うのだから、愛国心による偏見ではなく実際にそうなのだろう。たいていの場合、外国製品、特に機械類は10個に1個くらいは壊れているのが普通である。週末にガサゴソと買い物をしたら、1つ2つは不具合、欠品、不良があるのが普通である。そういう感覚が無いのは日本人くらいだろう。日本製品なら許されないからだ。そして、だから日本製は高いのであり、万に一つもミスしないように作るからコストもかかる。そういうフィロソフィーでモノを作っているのは日本人だけで、それを外国製品には期待できないということを肝に命じるべきで、それを考えずに安いからというだけで外国製品を買えば、当然そのしっぺ返しは来る。お金を払わずに同じクオリティーが得られるわけがないのだ。もし、そんなことが可能なら、「働かなくてもこのお守りで大金持ちに」と大差ないではないか。
アメリカに住むと最初は、「アメリカの製品って何てクオリティが・・・」と思うが、それは間違いで、日本以外は大差ない。もうすっかり慣れて、新しいものを買うときは一度にたくさん買わないようになった。初期不良の点検と返品に行くのが同時多発すると大変だから。
先日シンガポールから来た友達が、アメリカで時計を買ったときに、お金を払ってから、「動くかどうか電池を入れて確かめさせて。」と言って作動するのを確認してから受け取るのを見て、「あー、日本人だったらこんな習慣ないだろうなぁ~」と思った。日本の皆さん、世界では新品が動かないことは普通に有り得ます。海外でお買い物をする時は、動作を確認してから受け取りましょう。


いずれの事故も、クオリティーをタダだと思ってお金を払わないマーケットが招いた事故だろう。もっともっと事故が増えたら、お金でクオリティが買えて良かったと思うようになる。一番最悪なのは、いくらコストをかけても品質が手に入らないという状況で、そういう国もけっこう多い。


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