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ちょっと冷静に考えてみよう

10月18日付・読売社説(2) : [職務発明判決]「研究者を満足させる報奨とは」

前日の判決を受けての社説。
判決の中身は、
~引用~
光ディスクのデータ読み取り技術を開発した日立製作所の元社員が、会社側に「相当の対価」を求めていた訴訟で、最高裁は東京高裁の判決を支持し、日立側の上告を棄却した。日立は、海外特許分も含め、約1億6000万円を支払わなくてはならない。
~引用終わり~

で、社説にあるとおり、確かに報奨金は日本の方が高い場合もおおいにあるし、こんな金額になれば当然日本の方が高い。
しかーーーーし!元々の待遇が違いすぎる。
日立の研究者の生涯年収が2億円としよう。これくらいのホームランを打つかもしれないけど打率が1/100くらいの研究者が100人はいるだろう。そこでホームラン一つ出す期待値を1とするために、100人単位で見ると、総生涯年収200億円+今回の報奨金1.6億円。合わせて201.6億円。まぁ202億円ですよ。人件費。
これくらいのホームランが打率1/100で期待できる研究者をアメリカで雇うとなると、まず初任給で年収1000万円は堅い。その後も当然昇給しないと他社に引き抜かれるし、ストックオプションだのなんだのせっせとつけて、どう考えても日本の1.5倍じゃぁすまないくらいは払うでしょうね。(日本の初任給じゃ年300万円くらいからだし、本当はもっともっと差は大きいと思う。)となると、それを100人雇った時点ですでに300億円超えてるわけですよ。
さて、そうなると、その強打者の皆さんはホームランがでても1.6億円の報奨金はないけれど、ホームランが出なくても、そこそこやっていれば確実に3億円のラインは超えていくわけです。大当たりが無くても期待収入が圧倒的に高い上に、研究環境や生活環境がずっとずっと優遇されているわけですから、そりゃ、もう比べる前から答えは明らかですよね。

というわけで、大当たりしてもしなくてもアメリカの方がずっと待遇が良い。全部をアメリカ並にすることはできないから、せめて大当たりにニンジンをぶらさげて、少ない経費で不満解消になるといいなぁ。。。というのが正しい解釈なのです。この判決に「高額だ!」と思う人がいたら、それは大きな勘違いです。むしろ、研究者たちの目をそらして、彼らの冷遇を続けるための判決でしかないのです。
実は「日本は人件費が高い」というのは、ちょっと間違った先入観とも言えます。同じスキルの人間で見たらむしろアメリカより給料は安い。特にサイエンスやエンジニアリングでは圧倒的に安い。実はそれこそが日本が外貨を稼げる最大の理由なのです。
待遇は本当に違う。僕が日本で研究生活した場所は日本でも一番待遇が良いことが期待される場所でしたが、。。。。。現在通うアメリカの二流の州立大学の方がはるかに待遇がいいですから。。。。一流なんて行ったらどんなことになっちゃうのかしら???といつも思う。
文部省が何かに成功するとは思えないが・・・・英語教育が充実して、英語コンプレックスが無くなったりしたら、本当に日本崩壊しちゃうんじゃないかと心配です。

日本も格差社会にして、できる人を優遇するか?できる人はみんな流出して、彼らの送金にすがる仕送哀願国家になるか?そういう目で見たら、1億6000万円なんて安い安い!


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