シビックやカローラをハイブリッドにしてもあんまり意味はない。エスティマやランクルをハイブリッドにする方が意味がある。(説明は後述)にも関わらず、大型車や重量車のハイブリッドをプリウスなどと比べて燃費があまり改善されていないとのたまう人がいて、あきれる。得られるものと燃費のトレードオフの問題でより多くの空間を持ち、より多くの貨客を運べて、より快適なのに、それらを持たない車と同じ燃費で無いから良くないというのは、あまりに愚か。
トレードオフだけじゃなく、実質的な温室ガスの排出量削減でも、大型車の少しの改善の方がずっと意味があるのだ。
もともと30mpg走る車Aと15mpgしか走らない車Bがあったとする。一日50マイル走るとして年間200日で10000マイル。
燃費が2mpg改善された場合に消費するガソリンがどれくらい節約されるか?
A B
もともと消費したガソリン 333Gal 666Gal
=10000/30 =10000/15
燃費2mpg改善後 312Gal 588Gal
=10000/32 =10000/17
消費から救われたガソリンの量 21Gal 78Gal
=333-312 =666-588
と、燃費のとても悪い車を普通に悪い車にする方が、ずっと環境のために良いことをしたことになる。
当然、一律に2mpg改善とはおかしいという批判もあがろう。それでは、同量ではなく同率で改善された場合はどうなるか?
A B
もともと消費したガソリン 333Gal 666Gal
=10000/30 =10000/15
燃費2割改善後 277Gal 555Gal
=10000/36 =10000/18
消費から救われたガソリンの量 56Gal 111Gal
=333-277 =666-555
上の4例をまとめて見ると、Bが2mpg改善、Aが6mpg改善しても、まだBの方が環境負荷低減への寄与が大きい。つまり、燃費がもともと良い車をものすごく良くしても、悪い車のちょっとの改善ほどの意味もないのだ。
燃費の良い車をさらに良くする方がずっと難しくコストもかかるだろう。であれば、本当に環境のためにはSUVやトラックの燃費を(たとえちょっとだけでも)改善する方がずっと良いはずだ。にもかかわらず、小さい車から改善されている理由は、
・旗印として目立ちメーカーのイメージアップ
・燃費コンシャスな人は小さい車を買う人に多い
といった理由だろう。
本当に地球のためを考えるなら、大型車でわずかながらも改善したメーカーを賞賛すべきである。
環境コンシャスで、できるだけ車を利用しない生活をしている人がハイブリッドに乗り換えても、エコではなくエゴの要素が大きい。ライフスタイルや職業上の理由などで頻繁に車を利用する人が、少しだけでも燃費改善すればそれはかなりエコである。車の機能や楽しみに少しも妥協したくない人(そしておそらく車をたくさん使う人)の燃費改善に役立つ大型車のハイブリッド化はたとえ改善代が小さくても、小型エコカーよりはずっとずっと環境に貢献する。